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2014年7月16日水曜日

109シネマズで『R100』観賞。論理的整合性の追及を免れたいがゆえの自己ハンディキャップにしか見えないシーンがなければ面白かった。

先日、松本人志監督の『R100』観てきました。
場所は名古屋の109シネマズです。


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��09シネマズ名古屋
052-541-3109
〒453-0872 愛知県名古屋市中村区平池町4−60−14, ラ・バーモささしま2F

1Fにはモスバーガーとか金沢ロイヤルカレーとかクレープ屋とかがあります。



金沢ロイヤルカレーはちょっとルーが少ないかな。野菜が溶け込んだ甘みももう少し欲しい。72点ぐらいでしょうか。

映画は19時30分からの会を観ました。
10月5日の公開からまだ2週間しか経ってないですが…客席はガラガラ、私を含め4人ぐらいしかいなかったです。
2chとかで酷評されまくってのが影響したんでしょうか。

【R100】松本人志さんの新作映画、制作費が50億円 「エル・マリアッチ」が6493本作れる : ジャックログ 2chJacklog
千原ジュニア「こんなんできるの松本さんだけっすわ!めっっちや楽しみすわー!」
千原ジュニア「映画見さして貰いましたけど、もーぉっさいっこーっしたね!!女王様がブァッチィー!叩いて主役の男がギャアアアアア!!ってもう見てるこっちが何してんねーん!!言うてホンマなんすかあれ!!!」

トロント映画祭出品中の松本人志「R100」 現地紙が59作品中最低評価│【2chまとめ】ニュース速報嫌儲板
たけしみたいな狂気が松本には無い
どうせ薄っぺらなら品川みたいに大衆向け娯楽特化中身薄映画撮れば良いのにシュールなの撮りたがる

トロント国際映画祭出品の松本人志監督「R100」 地元紙が最低評価 (東スポWeb) - Yahoo!ニュース
「第38回トロント国際映画祭」に正式出品しているダウンタウン松本人志(49)の監督映画4作目となる「R100」(10月5日公開)が、地元カナダの「トロント・スター」紙で59作品中、最低評価を受けている。

 同紙はカナダの日刊紙として最大部数を誇る新聞。トロント国際映画祭の膨大な上映作品の中で何を見るべきか、有識者3人によって最高4つ星で格付けを行った。

「ミッドナイトマッドネス部門」に出品された松本作品について同紙では現代日本を風刺していると説明した上で「時折、啓発的だが、大半が人を動揺させる」などと評し、全作品中最低となる1つ星をつけた。残り作品では1つ半の評価もなく最低でも2つ星だ。

 同映画は現地時間12日に公式上映されるが、一般の観客はどう評価を下すか注目される。
 一方、日本からスペシャル・プレゼンテーション部門で出品された是枝裕和監督(51)の「そして父になる」は3つ星半と高評価を受けている。

まあそんな前評判はさておき、観賞。
いや~ちょっと違和感のあるシーンもあったけど、面白かった!
サトエリが寿司を平手でつぶすシーンとか、渡辺直美の官能的な踊りとか、ものすごく馬鹿馬鹿しい理由なのにシリアスな表情でカーチェイスする大森南朋とか、松ちゃんのコントのすごいところが映画に昇華されてたと思います。

なのに、どのサイトを観てもすごく評価が低く、「えー面白かったでしょ!」と私は思い、まとめまで作成して、この作品を評価したいと思いましたね。

『R100』の魅力と松本人志の笑い「非日常的世界への無意識のフェードイン」まとめ

まとめで紹介したコントや、映画もそうでしたが、松ちゃんの作品の魅力はその繊細さにあると思います。
「日常の延長線上にある些細な違和感を少しずつ積み上げていき異質な世界にしていく段階性」ともいえるでしょうか。
例えば、よゐこのコントはよく“シュール”と形容されることがあります。
頭に沢庵載せるとかですね。
あと、コントでいうとラーメンズとか有名ですよね。



ただ、よゐこやラーメンズが“シュール”な世界観を提示する時、段階性がないというか、すごく雑な気がします。
「いきなり」出してくる感じがするんですよね。
メインディッシュいきなり出てくる感じでしょうか。

でも松本人志は、まずパンプキンスープ出して、シーザーサラダだして、そして《メインディッシュのステーキ=シュールな世界》を提示する段階性がある気がします。
だからすごくその世界に引き込まれるんですよね、まずは胃袋を受け入れ体勢にしてくれるというか。

もちろん、中にはそういう段階性のない笑いもあります。
2作目の『しんぼる』では、「《ちんこ=しんぼる》を触って世界に何かが起こる」といった大喜利的なシーンがありましたが、あれは松本人志の得意とする“段階的非日常へのシフト”が作品に盛り込まれてなかったと思います。
まずメインディッシュの異質な世界を提示して、そこからリアリティを付与して現実味を出し世界観に引き込むといったパターン。
その場合は“共感”が必要だと思います。観客の「なぜここにいるの?」「なぜ白い部屋に閉じ込まれているの?」という疑問を、作品の中にいるキャラクターがその疑問を担う代理人として機能していた方が、リアリティは出るんじゃないかって。
でもそれを担うキャラではなかった、主役のパジャマを着た松ちゃんは。
ちんこ押して、何か面白いことが起こって、白い部屋をウロウロして。ちょっと物足りない。
「外国での評価を意識し過ぎている」と評する人もいました。
昔観た『ジュマンジ』とかの方が面白かったし、松本人志の段階性の笑いに近い感じがします。何気ないボードゲームの中から、少しずつ異様なことが起きていって…でもいきなり異質にするのではなく。
最初は小さな変化から。そして徐々にエスカレートさせていく。

『R100』では、松本人志のその段階性の繊細さが出ていたというか、昔ごっつやビジュアルバムで観た時のコント、何気ない日常が、気づいたら理不尽で滑稽で異質な非日常に変えられていたマジックのような魅惑がありました。

でもその魅惑的な世界からリアリティを奪うシーンがありました。それがあの、メタ語りする5人のキャラクター。
あのシーンはいらなかった。映画ジャーナリストの野島孝一氏も次のように述べています。

松本人志監督の「R100」がトロント国際映画祭で上映されるらしい。内覧試写を見せてもらった。妻は意識不明で入院中。男の子を抱える家具店勤務の片山(大森南朋)は秘密のSMクラブに入会する。1年間は脱会できないという条件。さまざまなSM嬢が、いきなり出現してきてところかまわず片山を痛めつける。大地真央、寺島しのぶ、佐藤江梨子、片桐はいり、冨永愛、渡辺直美が大胆なボンテージ姿でいきなり出現し、片山をムチなどでボコボコにする。これはいかにも松本人志らしい意表を突いたファンタジーで、その強烈さはなかなかのものだ。特に冨永愛の回し蹴りと、佐藤江梨子がいきなりすし屋に現れ、握りたてのスシを手のひらでバシッとぶっ潰すシーンは息を呑む迫力だ。ところがその後、「R100」という映画の関係者が映像チェックの試写室から出てきて、あーの、こーの言うところからおかしくなる。次第に内容がめちゃくちゃになって収集がつかなくなる感じだ。松本監督は本人の混乱をそのまま画面にぶちまけて『あとはいいように解釈して』と幕を引いたような感じを受ける。私は松本監督の「しんぼる」と「さや侍」をわりに買っていた。それを超える作品を期待していたので、ちょっと残念だ。ワーナー配給。10月5日公開。

松ちゃんは恐れていたんじゃないかって思います。映画ファンからの痛烈な批評を。
だからその痛烈な批評から逃れたいがゆえに、メタ語りの5人を使って、「そんな批評は想定内だから」「わかってうえでやってるんや」と、あらかじめ評論する奴らに対して釘を刺しておきたかった。
しかしそれは、弱みを先に提示して自分を守るといった、自己ハンディキャップの心的機制にしか見えなかったです。
そんなシーンは観たくなかったですね。「自信のなさ」の裏返しでもある気がします。
自信を持って、SMクラブとそれに没入するサラリーマンという1つの世界だけでストーリーを展開しても、論理的整合性の追及を逃れられるぐらいのリアリティはあった。

そもそも、薄暗い映画館は、多少は眠りや昏睡の状態に近付くでしょうから、普段明るい部屋で仕事をしたり小説を読んだりDVDを観ている時よりも論理的整合性を追求する理性は誰しも欠いていくと思います。それは映画監督における「地の利」であって、それにプラスしてリアリティがあれば、そんな追求も出来なくなるぐらいストーリーに没入出来るのに。

次回作は、そんな映画通の批評とかいちいち気にせず、作品を作ってほしいと思います。

総合評価:87点

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